公務員薬剤師になるには?
求人・転職先はある?
仕事内容からメリット・
デメリットを解説!

公開日: | 最終更新日:

公務員薬剤師の仕事内容は?給料・平均年収はいくら?公務員薬剤師として働くメリット・デメリットや公務員薬剤師になる方法をご紹介します!

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薬剤師の働き方を想像すると、調剤薬局やドラッグストア、病院で勤務しているイメージが強いと思いますが、薬剤師の資格を持っている場合、公務員として働くことも可能であることはご存じでしょうか。

公務員は一度就けば安定していて、福利厚生も手厚く、賞与や退職金なども多く貰えます。

そのため、民間企業で働く薬剤師の方が、転職して公務員薬剤師として働きたいと考えるケースも少なくありません。

しかし公務員薬剤師の仕事は「つまらない」「きつい」との声があることも事実です。

本記事では公務員薬剤師の仕事の内容や年収、民間で働く薬剤師との比較、メリット・デメリット、公務員薬剤師になるための試験の際に押さえておくべきポイントなどについて解説していきたいと思います。

公務員薬剤師になるために必要な情報を見出しごとにまとめていますので、是非参考にしてみてください。

公務員薬剤師の働き方は
3つに分けられる

公務員薬剤師の働き方は3つに分けられる

公務員として自治体や国が運営する組織に所属して働く薬剤師のことを公務員薬剤師と言います。

公務員は安定性、福利厚生、賞与などは一般の薬剤師に比べて高水準であることが特徴です。
公務員薬剤師には主に下記の3つのような働き方があります。

  • 国家公務員薬剤師
  • 地方公務員薬剤師
  • 麻薬取締官

同じ公務員ではあるものの、それぞれの働き方によって具体的な仕事の内容や給与、労働環境も変わります。
また、麻薬取締官については厚生労働省の管轄下であり、厳密にいえば同じく厚生労働省の管轄下である国家公務員薬剤師と同じ分類です。

地方公務員薬剤師は自治体・都道府県が運営する組織に属するため、保健所・役所・公立病院などが主な職場となります。

公務員薬剤師の具体的な仕事内容は?

ざっくりと公務員薬剤師の働き方について前述しましたが、働き方によって職場や仕事内容は大きく変わります。

この見出しでは国家公務員薬剤師・地方公務員薬剤師・麻薬取締官の3つの公務員薬剤師の仕事内容について、それぞれ解説していきます。

国家公務員薬剤師の仕事内容

国家公務員薬剤師は主に総合職採用であり、多種多様な仕事内容であることが多いです。

所属する課によって取り扱う仕事は変わり、医薬品の承認や審査などを行う薬事行政や研究会の促進、食品衛生法に関わることなど、その内容は多肢にわたります。

一般的な薬剤師の仕事とは全く別の業務に携わることもありますが、薬学の知識を活かせる場合が多く、様々な仕事を経験してみたいと考える方にとってはやりがいのある仕事と言えるでしょう。

下記は国家公務員薬剤師の業務内容を課ごとに分けた一例です。

医政局 経済課・保険局 医療課
  • 医薬品の安定的な流通に関する施策
  • 医薬品の価格に関する指導等
  • 医療保険行政の企画立案
  • 薬価の算定や調剤報酬・診療報酬の改訂
医薬・生活衛生局 総務課
  • かかりつけ薬剤師・薬局の啓蒙と推進
  • 医薬品の適正販売に関する制度作り・見直し
  • 薬剤師国家試験の改定や問題作成
  • 薬剤師行政に関する企画・立案
食品基準審査課・内閣府 食品安全委員会事務局
  • 食品衛生法に基づく食品、添加物などの規格や基準の策定
  • 食品の安全性の確保

参照:総合職 薬系技官 | 厚生労働省

地方公務員薬剤師の仕事内容

都道府県・市区町村の自治体が管理する組織に所属して勤務するのが地方公務員薬剤師です。

多種多様な職場があり、就業する組織や職場によって仕事内容が大きく変わります。
以下は地方公務員薬剤師の主な仕事と職場・組織をまとめた表になります。

主な仕事内容 職場・組織
  • 公衆衛生や環境衛生の監視や管理
  • 感染症や食中毒などの予防の研究
  • 食品衛生や医薬品の管理
衛生研究所
  • 施設の新規開設許可
  • 飲食店や薬局等、担当地域店舗への立ち入り検査
保健所
  • 患者様への服薬指導
  • 棟業務
  • 外来調剤
公立病院
  • 製造販売許可
  • 医薬品メーカーなどへの監視指導・立入検査
地方厚生局・役所・県庁

表を見て分かる通り、地方公務員薬剤師の仕事は病院と行政で仕事内容が大きく分かれています。
上記の職場の内、公立病院に勤務する薬剤師は調剤業務も行いますので、一般的な薬剤師と仕事内容や働き方はほとんど変わりません。

行政に関わる職場での勤務の場合、薬事と衛生面での監視や指導、立入検査などの業務があります。
都道府県内の各市町村が管理している施設間で異動がある可能性があり、例えば県立病院から全く仕事内容の違う衛生研究所への異動なども珍しくありません。

一つの職種、職場で働きたい人にはマイナスかもしれませんが、様々な仕事でキャリアを築きたいと考える方の場合はプラスになると言えるでしょう。

また、地方公務員薬剤師は各都道府県での雇用となっているため、基本的に異動は所属する都道府県内のみです。

麻薬取締官の仕事内容

麻薬取締官として働く薬剤師の職場は、地方厚生労働局麻薬取締部になります。

主な仕事は医療機関への立入検査、麻薬や危険ドラッグの流通防止、薬物犯罪の捜査など、一般的な薬剤師の仕事のイメージとは全くの別物です。

薬物に関する相談業務や啓蒙活動などを行うことで、違法薬物の使用の防止に貢献します。
薬剤師が働く職場の中ではかなり特殊な部類であり、特別なキャリアを積むことができるでしょう。

また、麻薬取締官は厳密には国家公務員であるため勤務は全国各地となり、自分の住む地域外への転勤の可能性もあります。

公務員薬剤師の平均年収は
約543万円、給料は約38万円

総務省から公表されている「令和3年4月1日地方公務員給与実態調査」では、公務員薬剤師の平均月収は約380,000円とされており、平均年収は約5,430,000円となっています。

下記は公務員薬剤師の平均月給をまとめたものです。

※手当等は一部を抜粋となっています。

項目 金額
基本給 330,660円
初任給調整手当 1,321円
時間外勤務手当 21,188円
管理職手当 4,013円
管理職員特別勤務手当 51円
通勤手当 9,593円
住居手当 5,719円
単身赴任手当 246円
夜間勤務手当 257円
休日勤務手当 1,203円
特殊勤務手当 3,525円
特地勤務手当 252円
へき地手当 57円
宿日直手当 1,791円
合計金額 379,876円

参照:総務省 令和3年4月1日地方公務員給与実態調査結果

上記表は賞与を含まない数字であり、賞与(月給4.45ヶ月分)を含めて年収を試算すると、平均年収が約5,430,000円となります。

初任給は一般的な薬剤師より低い

初任給は一般的な薬剤師より低い

公務員薬剤師の初任給の金額は6年制大学卒業で213,600円4年制大学卒業で188,400円となっており、詳しい内容は人事院から発表されている「人事院勧告」に記載されています。

公務員薬剤師の初任給については公務員の規定の数値となるため、職場や所属する組織が違っても、金額が異なることはありません。

ドラッグストアや民間病院で働く薬剤師の初任給は、約250,000円〜300,000円強である場合が多く、初任給だけで比べてみると公務員薬剤師の給与は一般的な薬剤師よりも低いことが分かります。
しかし公務員薬剤師は安定した昇給が見込める他にも、福利厚生も手厚いのが特徴です。

初任給は低いですが公務員薬剤師の平均年収は前述にもある通り、約5,400,000円で、薬剤師の平均年収よりも高い数値となっています。
退職金もあるため生涯年収の観点から見れば、公務員薬剤師の仕事は高い年収水準であると言えるでしょう。

※2022年に人事院から6年生公務員薬剤師の初任給が3,100円アップとなり、213,600円となりました。

公務員薬剤師の3つのメリット

一般的な薬剤師と同じ調剤業務はもちろんのこと、薬事行政や犯罪の取り締まりなど様々な仕事を取り扱っている公務員薬剤師ですが、実際に公務員薬剤師として働くメリットにはどのようなものがあるか、気になる方も多いと思います。

この見出しでは公務員薬剤師として働く上で得られる代表的なメリットを大きく3つに分けてご紹介いたします。

公務員という特性上安定している

公務員という特性上安定している

公務員薬剤師が安定した職だと言われる理由は、公務員としての雇用形態が特徴的であるためです。

公務員は国家公務員、地方公務員、特別地方公務員などに分かれますが、いずれも任期制度が採用されており、一定期間勤務した後は再任用されるかどうかが審査されます。

公務員の再任用は一定スキルや成果があれば再任される可能性が高く、長期的に安定して働くことができるのです。そして、公務員薬剤師は政府や自治体の予算に基づいて採用枠が設けられているため、リストラや契約切れなどの心配がほとんどありません。

つまり一度公務員に採用される能力があれば、任期やリストラの影響をほとんど受けず、安定して働けるというメリットがあります。

育児休暇や諸手当など福利厚生が充実している

育児休暇や諸手当など福利厚生が充実している

公務員薬剤師は年次有給休暇や特別休暇、育児休業、介護休暇などの取得が法律で定められており、福利厚生の面で充実しています。

夏季・年末年始の休暇、有給休暇が容易に取得できるためワークライフバランスが取りやすい仕事環境です。
例えば育児休業を取得する場合、最大3年まで申請が可能となります。

民間の企業や病院で働く薬剤師の育児休業の取得は条件付きで2年、原則1年までとなっていますので、育児休業の取得期間においては公務員薬剤師の方が優れていると言えるでしょう。

さらに公務員薬剤師には福利厚生として退職金制度があることも大きなメリットになります。

公務員薬剤師は勤続年数に応じて一定の退職金が支払われることが約束されており、退職後の生活も安心です。

勤続年数に応じた収入のアップが安定している

勤続年数に応じた収入のアップが安定している

公務員薬剤師の給与は国や地方自治体によって統一されており、勤務先の地域や施設によって収入が左右されることはありません。

これに準じて昇給や賞与といった待遇についても定められた金額がある他、昇給は毎年あるため将来的な収入の見通しも立てやすくなっています。
また、公務員薬剤師の給与は年功序列によって決定され、勤続年数が長くなれば自然と給与水準も上がっていくことが期待できます。

そのため公務員薬剤師は長期的な雇用と勤続を前提として、安定した収入を得ることができるのが特徴と言えるでしょう。

公務員薬剤師の3つのデメリット

公務員薬剤師として働く場合、前述のようにメリットはたくさんあります。

しかし公務員であるが故のデメリットも存在します。
公務員薬剤師として就職や転職を希望する場合はメリットだけでなく、デメリットもしっかりと理解しておくことが大切です。

この見出しでは公務員薬剤師のデメリットについて、代表的な3つをそれぞれ解説していきたいと思います。

定期的な異動・転勤がある

公務員薬剤師として働く場合、定期的な職場の異動や施設の転勤があります。

これらは公務員薬剤師としての経験を広げ、能力を向上させるために必要なものであるとされています。
異動、転勤先では同じ職種で働けるとは限らないため、異動がある度に仕事内容が変わって、仕事を覚え直すケースがほとんどです。

また職種が同じであっても職場の仕事の進め方やルールが違ったりすることも多く、その職場での臨機応変な対応力を求められることもあります。前の職場よりも離れた場所への転勤になると、通勤のために引っ越しすることも少なくありません。

生活環境の変化によってストレスを感じてしまう方にとっては大きなデメリットになると言えるでしょう。

初任給が一般的な薬剤師に比べて低い

公務員薬剤師の初任給については前述した通り、ドラッグストアや民間の病院で働く一般的な薬剤師に比べて低い傾向にあります。

勤続年数の短い内から高い給与を稼ぎたいと考える方にとってはデメリットと言えるでしょう。
ただし、こちらも前述の通り公務員薬剤師の給与は安定して毎年昇給することが定められており、その額もしっかりと法律によって決められています。

賞与や退職金などの福利厚生も充実しているため、長期的な目で見た場合、公務員薬剤師の生涯年収は民間企業や民間の病院で働く薬剤師よりも高い水準です。

初任給は安くても、長く安定して働くことを前提に公務員薬剤師として働きたいと考える方にとっては大きなデメリットではないでしょう。

副業・兼業ができない

近年は様々な企業で副業・兼業が解禁されており、民間企業や民間の病院で働く薬剤師でも副業を行っている方は増加傾向にあります。

ところが公務員薬剤師の副業・兼業は、国家公務員法や地方公務員法という法律で禁止されているのです。

これらの法律は公務によって得た情報の漏洩を防止したり、公務員としての社会的な立場の信用を失ったりすることのないように定められています。
しかし、実は2018年頃から公務員の副業解禁についての話は進んでおり、一定の条件を満たすものであれば自治体によっては認められるケースもあります。

営利目的となる活動は解禁されておらず、公益性の高い社会貢献活動が認められているという現状であるため、まだまだ改善の余地はあると言えるでしょう。

薬剤師に転職をするなら公務員?
民間?項目別で比較!

薬剤師への転職を考える際に公務員薬剤師として転職するか、民間の企業や病院に転職するかで迷う方も多いかと思います。

下記は民間で働く薬剤師と公務員として働く薬剤師の違いを項目別に比較した表です。

民間で働く薬剤師 公務員として働く薬剤師
仕事内容 集中的に薬剤師としてのスキルを伸ばせる 仕事は配属先によるため選択の自由はない
年収 勤続年数が短くても月収で30万円前後の収入がある 中長期的に見ると高い水準である
福利厚生 事業所によっては手厚くない場合がある 育児手当・家賃補助など充実している
休日・休暇 シフト制・休暇約15日前後 土日祝休み・休暇約20日
転勤・異動 事業所によっては転勤なし 基本的に異動・転勤あり

上記の表からも分かるように、民間で働く薬剤師にも公務員として働く薬剤師にも、それぞれメリット・デメリットがあります。

特に仕事内容に関しては民間か公務員かで大きく変わりますので、自分が薬剤師として生涯どのように働いていくのが理想なのかを考える必要があると言えるでしょう。

自分に合った働き方や職場の環境を吟味し、慎重に選ぶことが大切です。

【働き方別】
公務員薬剤師になるには?

【働き方別】公務員薬剤師になるには?

前述で紹介した通り、公務員薬剤師は「国家公務員薬剤師」「地方公務員薬剤師」「麻薬取締官」の3つの働き方があります。

この見出しでは公務員薬剤師になるために必要となる試験や資格等について、それぞれ解説していきたいと思います。

国家公務員薬剤師の場合

まずは薬剤師国家試験に合格して薬剤師免許を取得する必要があります。

薬剤師免許を取得した状態で国家公務員試験に合格することで、厚生労働省の総合職として採用される資格を得ることができるのです。
国家公務員試験には一次試験・二次試験・人物試験等がある他、大卒や院卒によって試験内容が変わります。

一次試験は多肢選択式である基礎能力試験と専門試験で構成されています。
基礎能力試験では国家公務員の総合職として働くために必要とされる知能・知識が求められ、専門試験では大学での専攻などによって回答する分野を選択した上で、専門的な知識を問われることになるのが特徴です。

国家公務員試験は合格率が低く、決して簡単な試験ではありません。対策と準備をしっかりと行い、試験に臨む必要があると言えるでしょう。

地方公務員薬剤師の場合

地方公務員薬剤師として働きたい場合も、国家公務員薬剤師と同様にまずは薬剤師国家試験に合格することで、受験資格を得ることができます。

薬剤師国家試験に合格した後は、自分の希望勤務地である都道府県の地方自治体が実施している採用試験を受験し、合格する実力を身に着けることが必要です。
地方自治体の採用試験は実施する自治体によって内容が異なるため、受験対策を始める前に自治体のホームページなどで出題範囲を確認しておくようにしましょう。

下記は採用試験の中で代表的な試験内容をまとめたものです。

地方自治体の実施する採用試験は、国家公務員試験と比較すると合格率は高くなっています。

ただしその分応募者数も多くなっているため、ギリギリでの合格を目指すのではなく、しっかりと対策・準備をおこなって試験に臨む心構えが必要です。

麻薬取締官の場合

麻薬取締官は狭き門の職種とされており、試験自体の合格率は国家公務員試験と同様に低い傾向にあります。

採用数も少ないため、薬剤師の転職や就職先としては非常に難易度が高いです。

受験するのは地方厚生局麻薬取締部が実施している採用試験となり、応募資格は以下の通りとなります。

  • ①国家公務員試験の一般職採用試験(大卒程度試験)「行政」または「電気・電子・情報」の合格者。
  • ②薬剤師、または薬剤師国家試験の合格見込み者で、①の受験資格を満たす者(年齢制限あり)

参照:厚生労働省 地方厚生局麻薬取締部

また、麻薬取締官は違法薬物の取り締まりが主な業務となり、危険を伴う立入捜査などを行うことがあるため、拳銃射撃や逮捕術訓練なども行います。

資格としては関係のない部分ですが、犯人や危険人物と対面する可能性も高い仕事であり、体力的にも精神的にも高いポテンシャルを求められると言えるでしょう。

公務員薬剤師の倍率は10倍前後

公務員薬剤師の倍率は10倍前後

薬剤師の働き方として多くのメリットがある公務員薬剤師ですが、その倍率は10倍前後となっており、難易度は高いと言えます。

近年では初任給が高く設定されて若い内から高収入を得られる民間の企業(ドラッグストア等)や病院、調剤薬局に転職・就職する薬剤師が増えたものの、公務員薬剤師は未だに人気です。

民間で募集されている薬剤師の倍率は2〜3倍程度となっており、公務員薬剤師よりも難易度が低いことから応募率が高くなっていると推察されます。
また公務員薬剤師の中でも地方公務員で、保健所勤務希望の場合は倍率が5倍程度に落ち着きます。

そのため、地方公務員薬剤師として働き口を見つける場合は難易度の低い保健所を選ぶことで転職・就職の可能性を高めることができるでしょう。

一方で、麻薬取締官や国家公務員薬剤師はさらにハードルが高くなっており、合格者は毎年10名に満たないとの報告もあります。
特に麻薬取締官については日本全国でも300人程度しかおらず、さらに応募者も多い職種であるため薬剤師の働き方の中でも、非常にハードルが高い職種であると言えるでしょう。

参照:厚生労働省「薬系技官 採用情報」

公務員薬剤師の試験のポイント

公務員薬剤師になるために受験する公務員試験にはいくつか押さえておくべきポイントがあります。

それは年齢制限や国籍などの応募資格、実際に公務員採用試験が行われる時期、そして受験する試験の内容です。

この見出しではそれぞれの押さえておくべきポイントについて、それぞれ詳しく解説していきたいと思います。

応募には年齢制限などの条件がある

下記は国家公務員薬剤師、地方公務員薬剤師、麻薬取締官、薬剤官の試験における受験資格や条件についてまとめた表になります。

職種 資格・条件
麻薬取締官
  • 麻薬取締官として職務遂行に支障のない程度の健康状態
  • 国家公務員試験の一般職採用試験「行政」もしくは「電気・電子・情報」の合格者
  • 薬剤師国家試験合格者もしくは合格見込み者
  • 30歳未満であること
国家公務員薬剤師
  • 30歳未満であること
  • 日本国籍を保有していること
地方公務員薬剤師
  • 薬剤師国家試験合格者・合格見込み者
  • 30歳前後(自治体によって変わる)
薬剤官
  • 薬剤師国家試験合格者
  • 20歳~28歳の年齢であること
  • 6年制大学の薬学部卒業者
  • 日本国籍を保有していること

上記の表を見ると分かることですが、実は国家公務員薬剤師には過去に免許を所持していなくても国家公務員に選出された事例があります。

ただし現在では薬事監視員のほぼ全員が免許を取得しており、国家公務員薬剤師を目指す受験者も薬剤師試験に合格・合格見込みの状態で受験するため、実質的に薬剤師資格の保有は必須条件であると言えるでしょう。

年齢制限については受験する職種や自治体で変わりますので、現在の年齢と照らし合わせてしっかりと確認が必要です。

特に今から公務員薬剤師を目指して勉強を始める場合は、どのくらいの期間でどれだけの勉強量が必要かを見直す必要がありますので、是非上記の表を参考にしてください。

採用試験時期

下記は公務員薬剤師それぞれの採用試験時期についてまとめた表になります。

時期 麻薬取締官 地方公務員 国家公務員 薬剤官
申し込み受付 4月 3月 3~5月
一次試験 5月 4月 5月
二次試験 6月 5月 6月
最終合格発表 8月 6月 7月

上記の表の通り基本的には毎年決まった時期に採用試験が行われており、試験月に向けて勉強のスケジューリングをするのが一般的です。ただし麻薬取締官については国内で上限人数が定められており、退職等によって人員の補充が必要になった時にだけ募集があります。

いつ欠員が出るかは不明であるため、麻薬取締官を目指したい場合は常に募集情報の更新をチェックしておく必要があるでしょう。

試験内容

公務員薬剤師の試験では受験する職種によって試験内容が変わります。

下記の表はそれぞれの職種ごとに一次試験、二次試験の内容をまとめたものです。

職種 一次試験 二次試験
国家公務員薬剤師
  • 教養試験:
    文章理解・自然・社会などの選択問題
  • 専門試験:
    薬学・数学基礎などの選択問題
  • 専門試験:
    薬学・薬化学などの記述問題
  • 政策論文試験
  • 個人面接
地方公務員薬剤師
  • 教養試験:
    文章理解・自然・社会などの選択問題
  • 専門試験:
    薬学・数学基礎などの選択問題
  • 小論文試験:
    思考力や判断力について記述
  • グループ面接・個人面接
麻薬取締官
薬剤官
  • 教養試験:
    大学教養課程終了程度
  • 専門試験:
    大学専門課程修了程度
  • 身体検査
  • 個別面接
  • 小論文試験

表の内容から分かる通り、一次試験の教養試験と専門試験は共通となっています。

特に教養試験は公務員薬剤師だけでなく一般的な公務員試験の内容と大きな差がないため、参考書等で対策を行うことが可能です。専門試験で出題される専門知識は、薬剤師として活動していくのに必要な「薬学」になります。
また、一次試験はマークシート等の選択式の問題である場合が多いのが特徴です。

一方で、二次試験では面接や記述試験がメインとなります。
そのため二次試験は問題集や参考書による対策よりも、自身が持つ知識を言葉でアウトプットする対策が有効です。

麻薬取締官は少し特殊な扱いとなっており、公務員試験がありません。
基本的には採用面接と個別面談のみを経て、合否が決められることがほとんどです。

しかし、犯罪捜査などで重要とされる法律に関する知識や語学力なども面接や面談時に試されるため、試験自体のレベルは非常に高いと言えます。

公務員薬剤師に関するよくある質問

公務員薬剤師の仕事を目指している人たちからよくある質問をこの見出しではまとめています。

自分にも共通する質問がある場合は、是非こちらを参考にしてみてください。

公務員薬剤師の仕事はきついですか?

人によって合う、合わないがあるため一概にきついとは言えませんが、公務員薬剤師の仕事は一般的な薬剤師と違って、事務作業やルーティンワークが多くなりがちです。

単調な仕事を繰り返すことが苦手な場合、公務員薬剤師の仕事がきついと感じるかもしれません。

また配属される施設や職種によっては、一般的な薬剤師業務からかけ離れた仕事をすることも珍しくないため、自分のイメージする薬剤師の仕事とのギャップで辛く感じてしまう人もいるようです。

一方で薬剤師として様々なキャリアを積みたいと考えている方や、繰り返し作業が得意な方にとっては、非常に働きやすい職種であると感じることが多いとされています。

公務員薬剤師の試験は併願が可能ですか?

結論から言えば併願は可能です。

「併願は当たり前」とまではいきませんが、就職活動や転職活動を行う上で、ほとんどの人が併願を行っています。
公務員試験と民間企業(病院)の併願パターンが多いですが、試験日や面接日さえ被らなければ2つの公務員試験の併願も可能です。

併願の数には上限がありませんので、自分の志望と実力が及ぶ範囲で可能な限り併願する受験生が多いとされています。
また、公務員試験は受験料が無料であるため受験におけるコストもかかりません。

自分が興味のある業種があれば積極的に出願しておくのも効率的な手段と言えます。

公務員薬剤師は中途でもなれますか?

受験資格さえ満たしていれば中途採用も可能です。

ただし公務員試験は一般的な学力で合否が決まりますので、現役の学生に比べると中途で受験するのは少し不利になります。

もちろんそれを補える程度の知識や勉強量があれば、特に問題はありません。

薬剤師として現役で働いている場合、現場経験や知識は学生よりも優れているため評価に値しそうですが、公務員試験の場合はその限りではないため注意が必要です。

とはいえ薬剤師として既に活躍している方の場合、一度難しい薬剤師国家試験に合格しているので、勉強の要領や押さえるべきポイントなどは熟知している場合が多いと思います。

薬剤師資格を持っている方であれば、新たな知識を獲得するための努力は必要なものの、特に問題なくクリアできる課題であると言えるでしょう。

まとめ

今回は公務員薬剤師の仕事について、様々な内容を解説させて頂きました。

一般的な薬剤師と比べた時のメリット・デメリットも紹介しましたが、人によって受け取り方は変わります。

転職や就職を考える際は。公務員だから・民間だからといった大まかな考えではなく、実際に仕事内容や待遇がどのように違うのかなどをしっかり比較することが大切です。

その上で自分に合った働き方や、自分がイメージする理想の職種を選ぶことで、薬剤師としての今後の人生が決まっていきます。

薬剤師として転職や就職にお悩みの方は、是非今回の記事の内容を参考にして、今後の活動に役立ててください。

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参考文献

厚生労働省:総合職 薬系技官 | 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/general/saiyo/kokka1/kokka1-yakugaku/2021all.pdf

総務省:令和3年4月1日地方公務員給与実態調査結果
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/pdf/R3_kyuyo_1_03-2.pdf

人事院:俸給表
https://www.jinji.go.jp/kankoku/r1/pdf/1kankoku_kyuuyo_bekki.pdf

人事院:国家公務員給与等実態調査
https://www.jinji.go.jp/toukei/0312_koumuinkyuuyo/koumuinkyuuyo.html

内閣官房:令和元年12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/r01_bonus_dec.pdf

厚生労働省 :地方厚生局麻薬取締部
https://www.ncd.mhlw.go.jp/index.html

厚生労働省:薬系技官 採用情報
https://www.mhlw.go.jp/general/saiyo/kokka1/yakugaku.html

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