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薬剤師として働くには、どのような仕事内容があるのか、また、どのような場所で働けるのか気になる方も多いことでしょう。
この記事では、薬剤師の仕事内容について詳しく解説するとともに、病院や調剤薬局、ドラッグストアなど、薬剤師が活躍できる場所についても紹介します。
さらに、薬剤師の平均年収についてもお伝えするので、薬剤師を目指す方や転職を考えている方にとって役立つ情報が満載です。
薬剤師とは分かりやすく言うと
どういう仕事?
薬剤師は医薬品に関する専門家であり、処方箋を受け取り医師が処方した薬剤が安全で適切な量であるかを確認します。
患者様に適切なお薬の使用方法や副作用などについてアドバイスを提供し、健康状態の改善や病気の治療をサポートすることも重要な役割です。
薬剤師は、患者様とのコミュニケーション能力が必要とされる職業であり、患者様に対して親身になって話を聞き、適切なアドバイスの提供が求められます。また、患者様にとって最適な治療方法や薬剤の種類を選定するために、医師や看護師といった他の医療従事者と密接に連携する必要があるでしょう。
医療チームの一員として医師や看護師、栄養士などと協力して患者様の健康管理をサポートするのも薬剤師の仕事です。また、薬局や病院だけでなく、製薬会社や保険会社、医療機器メーカーなど、幅広い分野で活躍できます。
薬剤師は、医療現場で不可欠な存在であり、高い専門性と責任を持って、患者様の健康維持や病気の治療に貢献しています。
薬剤師の仕事内容は
具体的にどういうもの?
医師の処方箋に基づいてお薬を調剤し、患者様に適切なお薬を提供するのがメインの仕事になりますが、調剤以外にも複数の仕事内容があります。薬剤師の仕事内容を大きく分けると6つです。
調剤以外にも患者様とコミュニケーションを取りながら服薬の指導をしたり、医薬品の管理を行ったりと仕事内容は多岐にわたります。
6つの仕事内容を下記で詳しく解説していきます。
調剤・監査
薬剤師の主な業務には調剤と監査があります。
調剤は医師の処方箋に基づいて、適切な薬剤を選択し、患者様に必要な薬剤を正確かつ安全に調合する仕事です。必要に応じて、薬剤の量を調整する場合もあります。
また、調剤には患者様の年齢、病歴、アレルギーの有無など、患者様の情報を確認することが重要です。
監査は、薬剤師が調剤した薬剤が正確かつ適切に患者様に提供されたかどうかを確認する仕事です。
調剤された薬剤を患者様の情報と照らし合わせ、処方箋に従って調剤されたかどうかを確認します。
処方箋には下記の内容が書かれています。
- 保険者番号
- 氏名・生年月日・性別
- 医療機関名・連絡先・処方した医師の名前
- お薬の名前
- お薬の形(錠剤、カプセル剤など)
- お薬の量 1回あたりに飲む量
- 1日に飲む回数
- 飲むタイミング
- ジェネリック医薬品への変更について
- リフィル処方箋ついて
- リフィル処方箋利用可否と利用可能回数
- 調剤日と次回来局予定日
上記の内容をもとに記載された薬剤と用量が一致しているか、ジェネリック医薬品になっているか、薬剤の品質や期限が適切であるかどうかを確認する必要があります。
薬剤師は、調剤や監査の際に患者様とコミュニケーションを取り、薬剤の使用方法や副作用、注意事項などについて説明することも重要です。
処方箋には患者様の病気の名前・症状は記載されていません。薬剤師は処方されたお薬が適正なものかどうかを確認するため、患者様とコミュニケーションを取りながら状態について話を聞く必要があるでしょう。
また、患者様に対して、薬剤の使用方法や副作用を説明し薬剤治療に関する理解を深めてもらうのも薬剤師の役割の一つです。
服薬指導
服薬指導とは、患者様が処方されたお薬を正しく飲めるようにサポートする役割です。
具体的には、患者様の病歴やお薬の種類、用法・用量、副作用の有無などを確認し、その情報をもとに服薬指導を行います。
例えば、何時に飲むべきか、食前または食後に服用するべきか、水分量はどの程度か、お薬の飲み忘れを防止するためにリマインドの方法はどうするかなど、具体的なアドバイスを提供する必要があるでしょう。
また、患者様が複数の医療機関でお薬を処方されている場合には、相互作用や重複投与などの問題を防止するための調整も重要です。さらに、患者様が自己判断でお薬を中止したり、忘れたりしないように、定期的にお薬の確認やリマインドをしましょう。
患者様にとって負担の少ないお薬の飲み方や、薬局での調剤の方法などをアドバイスする仕事内容も含まれています。
服薬管理には、患者様の健康状態や生活環境、お薬の種類などに応じて、適切なアプローチが求められます。
薬剤師は患者様とコミュニケーションを取りながら、個々の状況に合わせたきめ細やかなサポート提供が大切です。
薬歴管理
薬歴管理は、患者様が処方されたお薬に関する情報を記録し、適切なお薬の使用をサポートするための業務です。
まず、薬剤師は患者様の病歴やアレルギーの有無、現在のお薬の種類や用法・用量、副作用の有無などを確認します。
そして上記の情報をもとに、患者様の薬歴を作成します。
薬歴とは、患者様が過去に処方されたお薬や現在処方されているお薬、服用量、副作用などの情報を記録したものです。
薬歴を正確に管理すると、患者様の病状の変化やお薬の副作用などを把握し、適切なお薬の使用をサポートできます。
また、患者様が複数の医療機関でお薬を処方されている場合には、相互作用や重複投与などの問題が生じる場合があります。
相互作用や重複投与の防止のためにも、薬歴管理は重要な仕事です。
薬歴管理には、患者様のプライバシー保護にも十分に配慮する必要があります。
薬剤師は、患者様から収集した情報を厳密に管理し、漏洩や不正アクセスの防止に努めましょう。そして、薬歴管理には法律的な規制もあります。例えば、薬事法には、薬歴情報の管理や保管についての規定があります。
薬歴管理は、患者様の安全な治療のために欠かせない仕事内容です。
患者様の薬歴情報を適切に管理し、お薬の重複投与や相互作用などの問題を防止することで、患者様の健康を守ります。
疑義照会
薬剤師の仕事の中でも、疑義照会は非常に重要な業務の一つです。
疑義照会とは、処方箋に書かれた医薬品の内容について、医師に確認することです。
例えば、処方箋に書かれた医薬品名が複数ある場合や、どのお薬を優先的に調剤するかが分からない、医薬品名のスペルが誤っている場合などが挙げられます。
上記の場合、薬剤師は医師に問い合わせを行い、正しい医薬品を調剤できます。
また疑義照会によって処方ミスを発見し、インシデントやアクシデントを未然に防げるでしょう。
日本薬剤師会委託事業の「平成27年度全国薬局疑義照会調査報告書」では、疑義照会を行うきっかけは、処方箋の内容からが56%、患者様やご家族への服薬指導時が42%となっています。
疑義照会をする際のポイントは以下になります。
個人情報の保護
処方箋に記載されている患者様の個人情報は、漏洩することがあってはなりません。疑義照会の際には、患者様の氏名や診断名などの個人情報が含まれるため、個人情報の保護に十分に注意しなければなりません。
医師への丁寧な問い合わせ
疑義照会は、医師と薬剤師の信頼関係が重要です。医師に対して、丁寧かつ明確な問い合わせを行いましょう。また、医師からの回答を的確に理解するために、必要な専門用語や医療知識を十分に理解している必要があります。
疑義点を明確にする
疑義照会では、処方箋に関する疑義点を明確にしておきましょう。医師に対して、どのような点について疑問があるのかを明確に伝えると、より正しい回答を得られます。
記録の確実な取り扱い
疑義照会に関するやり取りや、回答内容は必ず適切に記録を残すようにします。記録に残すのは、将来的に同じような問題が生じた場合に、適切な対応ができるようにするためです。
疑義照会は、患者様の健康に関わる業務であるため、薬剤師は慎重に行う必要があります。
疑義照会によって正しい医薬品を調剤するとともに、患者様への安全に貢献し、誤った処方から患者様を守る最後の砦です。
医薬品の販売
薬剤師は、要指導医薬品や第1類医薬品といった医薬品を販売できます。
要指導医薬品は医療用で使用される医薬品から市販薬に転用されたばかりのお薬です。
薬剤師による適切な説明が必要となるため、対面のみでの販売しか行っていません。
第1医薬品は副作用、相互作用などの項目で安全性上、特に注意が必要なお薬です。
薬剤師の説明を聞かずに購入はできません。薬剤師のみ販売が可能で、書面による薬の説明が義務付けられています。
要指導医薬品や第1類医薬品は、医師の処方箋が必要ないため、薬局やドラッグストアなどで購入できます。
薬剤師は医薬品の知識を持ったスペシャリストであるため、医薬品の種類や効果・副作用などについて、患者様にしっかりと説明する責任があるでしょう。
患者様が医薬品を購入する際には、医薬品について十分な理解を持つことが大切です。
薬剤師が丁寧に説明を行うと、患者様が医薬品の使用方法や注意点を理解し、安心して使用できるようになります。
医薬品の管理
薬剤師の仕事の一つに医薬品の管理があります。
医薬品の管理とは、薬局や病院などで使用する医薬品を適切に管理し、安全な医療の提供に必要な品質を確保するための業務です。
具体的な内容は以下になります。
- 医薬品の受け入れや在庫管理
- 有効期限のチェックや廃棄
- 品質管理
- 医薬品の識別や分類
医薬品の管理は、患者様の健康を守る上で非常に重要な役割を持っています。
医薬品の品質や安全性が確保されなければ、患者様にとって深刻な健康被害を引き起こす可能性があるためです。
そのため、薬剤師は医薬品の管理に細心の注意を払い、常に最新の情報に基づいて業務を行う必要があります。
薬剤師が働ける場所は?
薬剤師が働ける場所は多岐にわたり、それぞれの職場によって業務内容や役割も異なります。
薬剤師の業務には、医薬品の調剤や販売、患者様の健康管理や相談、医師や看護師との連携や情報提供などが含まれます。
薬剤師は、自分自身のキャリアプランや目的に合った職場を選ぶことが大切です。
薬局
薬剤師が働く場所として最も多いのは、薬局です。
薬局では処方箋を受け取り、薬剤師が患者様に適切なお薬を調剤し、お薬の服用方法や注意点について説明をします。また、市販薬の販売も行われており、薬剤師は患者様の症状やお薬の併用などを考慮して、適切な市販薬を勧めます。
薬局では、薬剤師がお薬の品質や効果、副作用について常に最新の知識を持ち、患者様の安全を守るためにお薬の調剤や監査が必要です。
在庫管理や医療機器の管理、医療従事者との連携など、多岐にわたる業務があります。
薬剤師は、患者様の健康管理のために、医師との連携や薬歴の管理などを行い、薬剤師としての専門性を発揮することが大切です。薬局での薬剤師の業務は、患者様の健康管理や医療に直結するため、高度な専門性や責任感が求められます。
しかし、患者様とのコミュニケーションを通じて、健康をサポートするやりがいを感じられる職場です。
また、調剤時に処方に対する疑問点があれば疑義照会をすることも大切です。
ドラッグストア
近年では、調剤薬局が併設されているドラッグストアも増えてきました。
そのため、ドラッグストアに勤務する場合には調剤薬局が併設されているか確認しておくと仕事内容が把握しやすくなります。
調剤薬局が併設されていれば、薬局と同様に調剤や監査がメインの業務内容です。
薬局が併設されていないドラッグストアでの薬剤師の役割は、要指導医薬品や第1類医薬品の販売です。
要指導医薬品や第1類医薬品は医師の処方箋は必要ありませんが、ドラッグストアで購入する場合には薬剤師のみが取り扱い可能となります。お薬の飲み合わせや管理の仕方など、注意が必要な医薬品です。
そのため、要指導医薬品や第1類医薬品の購入を希望される患者様に対し、適切な情報を提供しなければなりません。
また、ドラッグストアには上記の2種類の他にも薬剤は第2類医薬品、第3類医薬品と種類が分かれています。
患者様の体調や薬歴を聞き取りながら、多くの医薬品の中から最適なお薬を選ぶのも重要な役割です。
ドラッグストアでは、お薬に関わる仕事のほかにもレジ打ちや品出し、陳列、在庫管理といった業務も行います。
病院
病院での薬剤師の主な仕事は、医師が処方したお薬の適正使用を確認することです。
具体的には入院患者様の薬歴を確認し、処方されたお薬が患者様に適しているかどうかを判断します。
また、処方されたお薬の種類や量、服用方法、副作用や相互作用などに関する情報を患者様に提供し、薬物治療への理解を促します。
病院で働く薬剤師は、患者様の薬物治療に関する医師や看護師、患者様自身と密にコミュニケーションを取りながら、薬物治療の安全性や効果を最大化するために尽力します。
そのため薬剤師は、処方箋の正確な入力やお薬の調剤、適切な投与量の計算、患者様の状況に応じたお薬の調整など、多岐にわたる業務が担当となるでしょう。
薬剤師が病院で働く場合は、医療チームの一員です。
患者様の病状に合わせた薬剤の開発や治療方針の計画、病院内での薬剤に関する情報の提供、病院の医療品質管理に関わる業務なども担当します。
製薬会社
製薬会社で働く薬剤師は以下の業務を行います。
- 新薬の開発
- 既存薬の改良
- 医薬品製造管理者としての品質管理
- 医療従事者や患者様向けの情報提供業務
新薬の開発では、臨床試験の計画・実施・監視、副作用の調査・報告、薬物動態学や薬理学などの知識を活かしたデータ解析を行います。また薬剤師は、開発中のお薬の特性や使用上の注意などを、医療従事者や患者様に分かりやすく説明するのも大切な役割です。
既存薬の改良では、市販薬や医療用医薬品の品質管理や、副作用の発生状況の調査・分析を行い、品質の向上や新たな効能の発見に取り組みます。
薬剤師が担う医薬品製造管理者の仕事は、医薬品の製造工程の監視・管理と製造された医薬品が品質基準に適合しているかを確認することです。
業務内容は、医薬品の製造計画・生産工程・品質管理・品質評価・品質管理規程の計画です。
上記以外にも医薬品の原材料調達、製造プロセスの検査、製品の検査なども担当します。
医薬品製造の全工程を監視するため、製造現場での指揮命令や品質管理の指導を行い、製造された医薬品が品質基準に適合しているかを確認します。
医薬品製造管理者は、医薬品製造工場での業務が主な仕事ですが、医薬品の輸送や保管に関する知識も必要です。
医薬品の品質管理に関する法律や規則に精通し、医薬品の製造・管理において必要な書類を作成し、厚生労働省への報告業務も担当します。そして、製薬会社が開発したお薬を医療従事者や患者様に情報提供するのも、重要な仕事の一つです。
薬剤師は製品の使用方法や注意点、副作用や禁忌事項などを説明し、正しいお薬の使用方法や安全性についての知識を伝えることが求められます。
行政機関
薬剤師が働く行政機関には、保健所や厚生労働省、都道府県薬務課、自衛隊、麻薬取締官、薬事情報センターなどがあります。
行政機関に勤務する薬剤師は、法律や規制に基づいて、医薬品や医療機器の承認・監視・指導・情報提供などの業務を担います。
保健所
保健所に勤務する薬剤師は、健康・医療に関する調査や対策が主な業務です。感染症の流行調査や、食品・化粧品・医薬品の検査・認可が担当です。また、薬剤師は、医療機器や医薬品の承認・登録を行う業務もあります。
厚生労働省
厚生労働省に勤務する場合、新薬の承認審査や、既存医薬品の安全性・有効性の評価などを担当します。また、医療政策の立案や、医療従事者の育成・研修なども仕事内容に含まれるでしょう。
都道府県薬務課
都道府県薬務課の場合は、医療機関や薬局の監督指導業務や、薬剤師の登録・免許管理、医薬品の承認・登録などを担当します。
自衛隊
自衛隊に勤務する薬剤師は、自衛隊の医療機関で医薬品の管理や処方業務を担当し、災害時には現地での医療支援も行います。
麻薬取締官
麻薬・覚せい剤などの薬物を取り締まる業務を担当しており、麻薬の密売や不正薬物の流通を防ぐため、薬剤師が分析や鑑定業務を担うでしょう。
薬事情報センター
薬事情報センターは、薬剤師が医薬品の情報提供業務を行う機関です。薬剤師が医薬品の副作用情報の収集・分析や医薬品の適正使用の啓発活動をし、医療現場での医療ミスの防止や安全な医薬品使用に貢献しています。
健康・医療に関する情報提供や啓発活動も行い、地域の健康増進に貢献しています。
学校
大学以外の学校(幼稚園、認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校)では、学校保健安全法により学校薬剤師の設置が義務付けられています。
薬剤師が学校で働く場合は非常勤講師となり、主に以下のような仕事内容です。
まず一つ目は、学校の保健室での業務です。薬剤師は保健室で、生徒の健康管理や薬物管理、簡単な処置、健康相談を行います。保健室には、救急箱や医薬品の管理、簡単な処置器具、健康に関する情報提供などがあります。
二つ目は、学校での健康教育です。
薬剤師は、生徒や教員に向けて、薬物乱用の危険性や健康管理の方法などを教育する役割があります。また、講義やワークショップ、パンフレット作成なども行います。
三つ目は、学校の医療連携です。
生徒の持病やアレルギー情報を医療機関と共有し、学校と医療機関の橋渡しをします。また、学校と連携して、保健室の医療器具の点検や修理、医薬品の管理なども行います。
以上のように、学校で働く薬剤師は、生徒の健康管理や薬物乱用防止教育、医療連携などを通じて、学校の健康維持に貢献できると言えます。
薬剤師の平均年収はどれくらい?
項目別で比較
薬剤師の平均年収を項目別で比較し紹介します。
紹介する項目は以下となります。
年収を知っておくと、就職先や転職先を定めるのに役立つでしょう。
年齢別の薬剤師年収の相場
令和3年度厚生労働省医薬・生活衛生局総務課委託事業「薬剤師確保のための調査・検討事業」によると、年齢別の薬剤師の年収の相場は以下の通りです。
年代 | 年収相場 |
---|---|
20代 | 約450万円 |
30代前半 | 約540万円 |
30代後半 | 約620万円 |
40代前半 | 約710万円 |
40代後半 | 約780万円 |
50代 | 約800万円 |
ただし、これらはあくまでも平均的な年収の相場です。
実際の年収は薬剤師の勤務先や職種、経験年数、地域、能力や資格などによって異なる場合があります。
また、労働市場の状況や社会情勢の変化によっても年収に影響があることも考慮する必要があるでしょう。
エリア別の薬剤師の年収の相場
エリア | 年収 |
---|---|
東北 | 511万円 |
北関東 | 475万円 |
首都圏 | 460万円 |
甲信越 | 490万円 |
北陸 | 470万円 |
東海 | 500万円 |
近畿 | 470万円 |
中国 | 500万円 |
四国 | 540万円 |
九州・沖縄 | 520万円 |
首都圏の方が年収が高いイメージですが、上記の表を見ると地方の方が年収が高いことが分かります。
また年収が高い都道府県は、厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると以下になります。
都道府県 | 年収 |
---|---|
山口県 | 667万円 |
香川県 | 653万円 |
茨城県 | 649万円 |
滋賀県 | 640万円 |
石川県 | 638万円 |
表に記載はありませんが、東京は594万円、大阪は537万円と地方に比べて主要都市の年収は低いのが現状です。
地方の年収が高い理由には、人材確保のために時給を高く設定する場合が多いことが挙げられます。
薬剤師として高い年収を希望する場合、地方で働くのも一つの手段になるのではないでしょうか。
職場別の薬剤師の年収の相場
職場別の薬剤師の年収相場は以下となります。
項目 | 一般 | 管理職 | エリアマネージャー |
---|---|---|---|
病院 | 約380万円 | 500万円前後 | 600~700万円※部長 |
薬局 | 450~550万円 | 500~650万円 | 550~800万円 |
ドラッグストア | 500~600万円 | 550~700万円 | 650~1000万円 |
項目 | 一般 | MR | 研究開発 |
製薬会社 | 約720万円 | 500~1,000万円 | 500~1,000万円 |
項目 | 自衛隊 | 麻薬取締官 | 保健所 |
行政機関 | 400万円~800万 | 670万 | 360万~900万 |
一般的な年収は500万前後ですが、製薬会社は700万です。
製薬会社の年収が高い理由は、売り上げに直結する業務に従事しているため、業績や成果によって報酬が大きく変動するからです。業績や成果により、高額のボーナスを得られる可能性もあります。また、新薬の研究開発や販売促進に携わることができるため、高度な専門性が求められるため、報酬が高くなっている場合があります。
学校に勤務する薬剤師は非常勤講師となり、年に8回〜10回ほど学校に出向く形です。そのため、年収は15万〜20万程度です。
メインの仕事ではなく、副業やアルバイトとして働く場合が多くなります。
薬剤師になるには国家資格が必要
医療現場において薬剤師は、患者様の治療に必要な薬剤の選定や投与、副作用の管理、情報提供など、重要な役割を担っています。
薬剤師は高度な専門性を持った職業なため、国家資格の取得が必要です。
医療法に基づいて定められた厳しい試験に合格することで取得でき、試験は、薬学や医療に関する幅広い知識や技術が問われます。
国家資格を取得すると、薬剤師として医療現場で活躍し、患者様の健康に貢献できる大きなやりがいがあるでしょう。
大学の薬学部で6年間の課程を修める必要がある
薬剤師になるには、まず大学の薬学部に入学する必要があります。
薬学部では6年間にわたり、医薬品や生体内物質、薬理学、病態生理学、臨床薬学などの専門的な知識を学びます。また、実習や演習を通じて、薬剤師として必要なスキルや技術を身につけることが必須です。
薬剤師には、患者様の健康や医療に関わる大切な役割が求められます。
薬学部での学習や国家試験の受験を通じて、高度な専門知識や技術を習得し資格を取得すると、社会や医療現場に貢献できます。
国内で薬剤師の勉強ができる6年制大学は、薬科大学学科別一覧によると74校あります。
2006年から4年制の薬学部では受験資格は得られなくなった
2006年度に「医師法」「歯科医師法」などをはじめとする医療関連法の中の「薬剤師法」という法律の改正が行われました。
改正により、4年制の薬学部からの卒業者は、薬剤師国家試験の受験資格がなくなりました。
試験受験資格を得るためには、薬学部を6年間修了することが必要になったのです。
4年制の薬学部では受験資格が得られなくなった主な理由は、医療・保健・福祉などの専門性の高い職業に就くために必要な知識・技能の習得に十分な時間を確保するためです。
薬剤師は医薬品の専門家であり、医師の処方箋に基づき患者様に薬剤を提供する重要な役割を担っています。
そのため、薬剤師に必要な知識・技能は多岐にわたり、6年間という長い教育期間が必要であるとされました。
4年制の薬学部では、知識・技能を習得するための時間が不足するので、受験資格を得られなくなったとされています。
免許の取得には「薬剤師国家試験」に合格しなければならない
薬剤師国家試験は、薬剤師免許を取得するために必要な試験です。
試験は、薬学の基礎知識から臨床医薬品まで幅広い内容が出題されます。
試験に合格すると、薬剤師としての資格が得られます。薬剤師国家試験は、毎年2日間実施されており、試験日程は厚生労働省のホームページなどで公表されています。
例年の受験スケジュールは、1月頃に受験の申込が開始され、2月頃に試験の実施、3月頃に合格発表の流れです。
薬剤師国家試験の概要
薬剤師国家試験は、日本の薬剤師養成教育制度の一環として、薬剤師の国家資格を取得するために受験する試験です。
以下に、詳細な情報をまとめています。
試験日程
薬剤師国家試験は、2日間行われます。
試験内容
345問のマークシート形式で出題されます。2日間にわたって4回に分けて実施されます。
筆記試験
筆記試験は下記の内容から出題されます。
- 生物・科学・物理
- 衛生
- 薬剤
- 薬理
- 病態・物理療法
- 法規・制度・倫理
- 実務
実技試験
実技試験は、薬剤師が実際に行う業務に必要な技能を問う問題が出題されます。具体的には、医薬品の調剤、剤形の調整、注射の施行、説明の実施などです。
試験合格基準
- 総得点の平均点と標準偏差を用いた相対基準により、設定した得点以上であること。
- 必須問題に関しては全問題への配点の70%以上であること。また、各科目の得点がそれぞれ配点の30%以上であること。
受験資格
薬学部・薬学科等において必要な学位を取得した者、外国の薬学部卒業者や外国で薬剤師免許を取得した者となります。
また6年制移行前の4年制薬学部を卒業した者は厚生労働省が個別に審査し、受験資格を満たしていれば受験資格を得られます。
受験手続き
試験への応募には、郵送、または窓口での申請が必要です。
新型コロナウイルス感染予防のため、郵送での手続きが推奨されています。
受験手続きを行うには受験願書、写真、卒業証明書か卒業見込証明書が必要になります。
試験会場
試験会場は、全国各地の大学、専門学校、学校法人、及び文部科学省管轄の施設などで行われます。試験会場に関する詳細は、受験票や案内文書などで事前に通知されますので、注意して確認してください。
薬剤師国家試験の合格率の推移
薬剤師国家試験の過去5年間の合格率の推移を下記の表にまとめました。
項目 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|---|
受験者数 | 13,579人 | 14,376人 | 14,311人 | 15,680人 | 14,124人 |
合格率 | 70.58% | 70.91% | 69.58% | 68.66% | 68.02% |
合格率は70%前後を推移しています。しかし2020年ごろから70%を下回り、合格率が低下する結果となっています。
薬剤師の仕事のやりがいや
メリットは?
薬剤師の仕事には、薬剤の調剤や患者様とのコミュニケーション、医療チームとの協力など様々な業務が含まれています。
患者様の健康を守るために、大切な役割を果たしている薬剤師にはやりがいやメリットも多いでしょう。
ここからは、薬剤師の仕事のやりがいやメリットを紹介していきます。
薬剤師の仕事のやりがいやメリットは以下になります。
患者様の健康に役立てる
薬剤師の最大のやりがいやメリットの一つは、患者様の健康に役立つことです。
薬剤師は医師から処方された薬剤を適切に説明し、指示通りに使用するようにアドバイスが求められます。
医療の専門家として、患者様が安心してお薬を使用できるようにサポートすることが大切です。
薬剤師は複数のお薬を使用している患者様について、お薬の相互作用を調べ、適切なアドバイスを提供できます。
また、患者様がお薬を正しく使用できているかどうかをチェックし、必要に応じて調整することにより、お薬の効果を最大限に引き出せるでしょう。
患者様に対しては、お薬の情報を提供するだけでなく、健康に関するアドバイスも行うことができます。
例えば、禁煙や運動、食事の改善など、患者様が健康的な生活を送るためのアドバイスができます。
薬剤師は、患者様の健康に関する総合的なサポートを行い、健康維持・増進に役立てるのです。
以上のように、薬剤師は患者様の健康に関わる非常に重要な役割を果たしています。そのため、患者様からの信頼や感謝の声を聞くことができることも、薬剤師のやりがいやメリットの一つと言えます。
薬の専門家として医療に貢献できる
薬剤師は医師や看護師と共に患者様の治療に関わり、お薬に関する知識や専門的な観点からアドバイスを提供します。
専門知識を持った薬剤師がいると患者様の治療効果が高まり、医療現場全体の質の向上が期待できるでしょう。
また、国は政策として「かかりつけ薬剤師」の推進やチーム医療・地域包括ケアの発展に力を入れています。
薬剤師はお薬の適正使用や副作用の管理など、医療現場において不可欠な役割を果たします。
薬剤師は、医療現場において多くの人々に必要とされる専門家であり、自己実現や社会貢献の意味合いが大きい仕事です。
給与水準が平均より100万円以上高い
薬剤師の平均年収は400万円〜700万に対して、厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、全労働者の平均は300万となっています。
薬剤師の年収が高い理由として、高い専門性や責任が求められる職業であり、医療業界全体の需要の高まりなどが考えられるでしょう。
また、薬剤師は独立して薬局を経営できるため、独立した場合は更に高い年収を得る可能性があるでしょう。
再就職がしやすく、ライフステージに合わせて柔軟に働ける
薬剤師は再就職がしやすいとされています。
再就職しやすい理由は薬剤師の資格があれば、他の業界に比べて幅広い就職先があるからです。
就職先は病院や薬局、ドラックストア、製薬会社、公的機関など選択肢が多くあります。
また、薬剤師は需要が高く、国はかかりつけ薬剤師の推進やチーム医療・地域包括ケアの発展に力を入れているため、就職のチャンスが多いでしょう。
さらに、薬剤師はライフステージに合わせて柔軟に働けます。
勤務時間の短縮や週休3日制度、育児休暇など、薬局や企業によっては様々な制度が整っています。フリーランスやパートタイマーとしても働けるため、自分のライフスタイルに合わせて勤務可能です。
ただし、薬剤師の労働環境は、薬局や企業によって異なります。
忙しい薬局や病院では、残業が多くなることがあるため、働き方には注意が必要です。
しかし、労働時間や待遇面で問題がある場合には、他の職場に転職できるため、再就職がしやすいといえます。
薬剤師は女性が働きやすい職種
厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査」によると、女性は男性よりも出産や子育て、介護などによるライフスタイルの変化が大きいことが示されています。
調査結果によれば、女性の主婦・家事手伝い等の割合は男性の約4倍であり、女性の育児・介護等の割合は男性の約2倍です。仕事を続けたくても続けることができない女性も少なくありません。
しかし、薬剤師であれば柔軟な勤務スタイルが多く、女性が働きやすい職種と言われています。
まず、薬剤師の勤務形態は、多くが週5日勤務やフルタイム勤務ではなく、パートタイムや短時間勤務など、柔軟な勤務形態が取り入れられています。
また、薬剤師の職場は、病院や調剤薬局、ドラッグストアなど多様で、勤務場所も選びやすいという点も働きやすい点として挙げられるのではないでしょうか。
さらに、薬剤師は、夜勤や休日勤務が少ない職種でもあるため、家庭との両立がしやすいのも特徴です。
薬剤師に向いている人は
どんな人?性格や特徴、
必要な能力は?
薬剤師に向いている人にはどんな性格や特徴があるのでしょうか。
また性格以外にも、薬剤師として必要なスキルも様々なものがあります。
ここからは薬剤師に向いている性格や必要なスキルを紹介します。
薬剤師に向いている人の性格や特徴
薬剤師に向いている人の性格や特徴は、以下のようなものがあります。
- 細かい作業が得意である
- 前向きで積極的な姿勢を持っている
- 要領がよく、効率的に仕事をこなせる
- 責任感が強く、自分の仕事に対して真剣に取り組むことができる
- コミュニケーション能力が高く、患者様や医療従事者と円滑なやり取りができる
- 厳密さや正確さが求められる分野に興味を持っている
- 常に学ぶ姿勢を持ち、自己啓発や専門知識の習得に取り組むことができる
- 医療に対して興味を持ち、人を助けることに喜びを感じる
- ストレス耐性が高く、忍耐力を持っている
調剤や監査を行うには細かい作業や小さな間違いに気付く必要があります。また、医療従事者としての責任感も重要です。
何より、患者様に寄り添う気持ちがある方が薬剤師に向いているといえるでしょう。
薬剤師に必要な能力
薬剤師には、以下のような能力が必要です。
- 医療知識の習得と継続的な学習能力
- コミュニケーション能力
- 判断力と決断力
- 論理的思考力と問題解決能力
- 精密さと正確性
- 責任感と倫理観
- 情報収集と分析能力
- カウンセリング能力
- 患者様の状態や症状に応じた適切な薬剤の選定や処方箋の調剤・管理能力
- チーム医療において他の医療関係者との連携・協調能力
上記の能力を身につけ、患者様の健康に貢献することが薬剤師の重要な役割です。
また、医療現場での急激な変化や新しい情報の出現に対応するため、常に学び続け、スキルアップを重ねましょう。
薬剤師は人手過多になっている?
今後の将来性について
日本薬剤師会によると、2021年の薬剤師人口は約32万人であり、前年度に比べて約1万人増加したと報告されています。
しかし、日本薬剤師会の2021年度版「薬剤師需給動向調査」によると、調査地域のうち50%以上で薬剤師不足が問題視されており、薬剤師の需要が高まっていることが分かるでしょう。
また、薬剤師の需要は高齢化や慢性疾患の増加に伴い、今後も増加傾向が続くとされています。
薬剤師人口は増加傾向ですが、需要の高まりに対して供給が追いついておらず、薬剤師不足が依然として問題視されている状況です。
高齢化社会の進展に伴い、慢性疾患や認知症の患者数も増加しており、薬剤師のニーズは今後も高まることが予想されます。
しかし、薬剤師業界は常に変化し続けており、将来性についてはいくつかの課題があると言えます。
薬剤師は最新の情報や知識を持ち続けることが求められるため、学び続ける姿勢が求められるでしょう。
また、IT技術の進歩により電子薬歴の導入や薬の自動分包装システムなどが導入される可能性も考えられます。
薬剤師の業務は将来性がありますが、常に変化する業界であるため、薬剤師自身が柔軟に変化に対応しなければなりません。
まとめ
薬剤師の仕事は、お薬の専門家として、患者様や医療従事者からのお薬に関する相談に応じたり、処方箋に基づいて薬の調剤を行うことが主な業務です。
薬局や病院内での医薬品の在庫管理や薬剤師の指導を行う場合もあります。
薬剤師は、患者様とのコミュニケーションを重視し、お薬の飲み方や副作用の防止方法など、患者様にとって理解しやすいようにアドバイスし、薬剤師は医師や看護師、栄養士など他の医療従事者と協力し、患者様の治療に関するチーム医療に貢献しています。また、薬剤師は、医療分野だけでなく、研究や教育、医薬品メーカーなど様々な分野での活躍が可能です。
薬剤師の仕事は医療業界において、医療の質の向上や患者様の健康に貢献する非常に重要な役割を担っています。
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参考記事:薬剤師向け転職サイト2025年おすすめランキング【20社比較】口コミや選び方も紹介はこちら
参考文献
日本薬剤師会委託事業の「平成27年度全国薬局疑義照会調査報告書」
https://www.nichiyaku.or.jp/assets/uploads/activities/gigihokoku.pdf
令和3年度厚生労働省医薬・生活衛生局総務課委託事業「薬剤師確保のための調査・検討事業」
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000963766.pdf
厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html
厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/03.pdf
日本薬剤師会の2021年度版「薬剤師需給動向調査」
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000647926.pdf
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