企業看護師の仕事内容とは？年収や転職のメリット・デメリットを徹底解説！

企業看護師の基本的な役割

企業看護師の主な役割は、従業員の健康を維持し、働きやすい環境を整えることです。具体的には、以下のような業務を担当します。

• 健康診断の実施・フォロー
• 体調不良時の対応（応急処置・休養指導など）
• メンタルヘルス相談やストレスチェックの実施
• 労働環境の改善提案
• 健康管理に関する啓発活動

病院と異なり、医療行為よりも「予防」や「健康維持」が中心となるのが特徴です。

従業員の健康管理や健康相談

従業員の健康状態をチェックし、体調不良時の対応を行います。また、生活習慣病予防や健康増進のためのアドバイスも重要な業務の一つです。

労働衛生や安全管理業務

職場環境の安全管理を行い、過労やストレスによる健康被害を防ぐための施策を考えます。労働基準法や産業保健の知識が求められる場面もあります。

健康診断の計画・実施・フォロー

企業では定期的な健康診断が義務付けられており、企業看護師はその計画や実施、結果の管理・フォローアップを担当します。従業員が健康診断を受けやすい環境を整えることも大切な役割です。

メンタルヘルスサポート

近年、企業では従業員のメンタルヘルスが重要視されています。企業看護師は、ストレスチェックの実施や、メンタルヘルス相談窓口の運営に関わることもあります。

応急処置や急病時の対応

職場でのケガや急病時に応急処置を行います。ただし、病院のように本格的な医療行為をするわけではなく、基本的な応急処置と医療機関への受診を促すのが主な役割です。

勤務時間やワークライフバランスの特徴

企業看護師の勤務時間は、9時〜17時や8時30分〜17時30分などの固定時間制が一般的です。企業によっては、フレックスタイム制が導入されている場合もあり、ある程度柔軟な働き方ができるケースもあります。土日祝日は休みとなることが多く、病院勤務のように夜勤や残業が発生することはほとんどありません。年間休日が120日以上確保されている職場も多いため、プライベートの時間を大切にしながら働ける環境が整っています。

また、企業看護師は病棟勤務と異なり、急患対応や医療処置を行う機会が少ないため、身体的な負担も軽減されます。病院勤務では、長時間の立ち仕事や、重症患者の対応などで体力的に厳しい状況が続くことがありますが、企業看護師はオフィス内での業務が中心となるため、落ち着いた環境で働くことが可能です。
ただし、企業看護師の業務は、医療行為よりも健康管理や予防医療が中心となるため、これまで病棟で培った医療技術を活かす機会は少なくなります。そのため、「患者さんの治療に直接関わりたい」と考える方には物足りなく感じることがあるかもしれません。しかし、逆に「医療現場のプレッシャーから解放されたい」「健康づくりをサポートする仕事がしたい」と考える方には、企業看護師の働き方は非常に魅力的な選択肢となります。

このように、企業看護師は、安定した勤務時間と規則正しい生活を確保しながら、健康管理業務を通じて従業員の健康維持に貢献できる働き方です。ワークライフバランスを大切にしながら、看護師としてのスキルを活かしたい方には、最適な職場の一つといえるでしょう。

夜勤がなく、生活リズムが安定する

企業勤務は基本的に日勤のみなので、生活リズムが安定しやすく、体への負担が少なくなります。

残業が少なくワークライフバランスが取りやすい

企業看護師は、病院勤務に比べて残業が少ない傾向にあります。家庭との両立や趣味の時間を確保しやすい働き方が可能です。

給与や福利厚生が充実していることが多い

企業によっては、病院よりも給与や福利厚生が良いケースがあります。特に、大手企業では賞与や昇給、各種手当が充実していることが多いです。

医療行為のプレッシャーが少ない

病院のように急患対応や高度な医療行為を行うことがないため、精神的な負担が軽いのも魅力です。

健康管理や予防医療に関われる

従業員の健康をサポートする仕事なので、病気を未然に防ぐことにやりがいを感じる人に向いています。

病院勤務より求人数が少ない

企業看護師の求人は、病院やクリニックに比べて圧倒的に少ないのが現状です。特に人気が高いため、競争率も高く、希望する企業に就職するのは簡単ではありません。
また、企業によっては「看護師」ではなく「保健師」を優先的に採用する場合もあるため、看護師資格だけでは求人が見つかりにくいこともあります。

即戦力が求められやすい

企業看護師は、病院のように教育プログラムが整っていることが少なく、即戦力としてのスキルや知識を求められることが多いです。
特に、産業保健や労働衛生に関する知識が必要となるため、未経験者がいきなり企業看護師として活躍するのは難しいケースもあります。

医療スキルが衰える可能性がある

企業看護師は、病院のように医療行為を行う機会がほとんどありません。そのため、看護技術が低下しやすいというデメリットがあります。
例えば、注射や採血、点滴などの処置をすることがないため、これらのスキルを維持するのが難しくなります。将来的に病院勤務へ戻ることを考えている人は、定期的に勉強会や研修に参加するなどの工夫が必要です。

デスクワークが苦手だとつらい

企業看護師の業務は、デスクワークの割合が多いのが特徴です。健康診断の管理、報告書の作成、データ入力など、PC作業が中心となるため、病院勤務のように体を動かして働きたい人には向いていません。
また、会議や研修の運営、社内資料の作成など、事務的な業務が多いため、デスクワークが苦手な人にとっては「きつい」と感じることもあります。

企業の方針に沿った対応が求められる

企業看護師は、会社の方針に従って業務を行う必要があります。そのため、医療的な観点だけで判断するのではなく、企業の経営戦略や労働環境を考慮しながら対応しなければなりません。
場合によっては、医療的な最善策を提案できないこともあるため、企業文化に適応できる柔軟性が求められます。

健康管理や予防医療に興味がある人

企業看護師の業務は、病気の治療ではなく「健康管理」や「予防医療」が中心となります。そのため、健康指導や生活習慣の改善に興味がある人に適した仕事です。

デスクワークが苦にならない人

報告書作成やデータ管理などのデスクワークが多いため、PC作業に抵抗がない人のほうがストレスなく働けます。
また、健康診断の計画や労働衛生に関する業務では、細かい書類の管理が必要となるため、事務作業が得意な人に向いています。

コミュニケーション能力が高い人

企業看護師は、従業員や管理職、産業医など、多くの人と関わる仕事です。そのため、相手の話をしっかり聞き、分かりやすく伝える力が求められます。
特に、メンタルヘルス対応や健康相談では、相手の気持ちに寄り添った対応ができることが重要になります。

企業のルールに柔軟に対応できる人

企業の方針やルールに従いながら働くため、柔軟に適応できる人が求められます。病院勤務と違い、看護師の判断だけでなく、企業の経営方針や労働環境を考慮しながら業務を進めることが必要です。

病院勤務とは違う働き方をしたい人

「夜勤のない規則的な生活を送りたい」「病院とは違う環境で働きたい」という人にとって、企業看護師は理想的な職場です。
病院のような忙しさや医療行為のプレッシャーから離れ、落ち着いた環境で働きたい人に向いている仕事と言えます。

必要な資格｜看護師または保健師免許

企業看護師として働くには、看護師免許または保健師免許が必須です。
ただし、企業の健康管理部門では保健師資格を持つ人が優遇されることが多く、看護師資格のみで応募できる求人は限られています。

保健師資格があると有利

保健師は、予防医療や健康管理の専門知識を持つため、企業の産業保健分野で高く評価されます。そのため、企業看護師を目指す場合、保健師資格を取得しておくと転職の選択肢が広がります。
特に、大手企業や公的機関の産業保健部門では、「看護師資格のみ」では応募できないケースもあるため、保健師資格を持っていると大きな強みになります。

産業保健の経験が求められることが多い

企業看護師の求人では、「産業保健の経験者が望ましい」と記載されていることが多く、未経験者にはハードルが高いこともあります。
しかし、以下のような経験があると、採用の可能性が高まります。

• 病院の健診センターや外来勤務経験（健康診断の知識が活かせる）
• 産業保健に関する研修や資格を取得（産業保健師養成講座など）
• 保健指導やメンタルヘルス対応の経験（生活習慣病予防の知識が役立つ）

未経験から企業看護師を目指す場合は、産業保健に関する知識を学ぶ機会を増やすことが大切です。

病院看護師との収入比較と待遇の違い

企業看護師の平均年収は、450万円〜500万円程度が相場とされています。これは、病院勤務の看護師の平均年収（450万円前後）とほぼ同等か、若干高めです。ただし、企業の業種や規模、職種によっても大きな差があり、大手企業や外資系企業では、年収600万円以上を得られることもあります。
また、治験コーディネーター（CRC）や臨床開発モニター（CRA）といった職種に就く場合、より高収入を狙うことが可能です。これらの職種では、年収500万円〜800万円以上、経験を積めば1,000万円以上の収入を得られる可能性もあります。

給与以外の待遇面では、企業独自の福利厚生が充実していることが多いのも企業看護師の魅力です。例えば、住宅手当や交通費の支給、企業の健康保険、退職金制度、社員割引制度など、病院では受けられない特典を享受できることもあります。また、昇給制度が整っている企業も多く、長く働くことで年収アップが期待できます。
ただし、企業看護師は病院と異なり、医療行為を行う機会がほとんどないため、看護技術を維持するのが難しいというデメリットもあります。病院勤務と比べて専門スキルを磨く機会が少なくなるため、キャリアプランを考える際には、「今後どのようなスキルを身につけたいのか」「将来どのような働き方をしたいのか」を明確にすることが重要です。

このように、企業看護師の年収は病院勤務と同等か、それ以上の水準を期待できる職場が多いですが、業務内容やキャリアの方向性をしっかりと考えた上で、転職を検討することが大切です。

必要な資格やスキルと採用のポイント

企業看護師の求人を探す際には、「企業看護師」「産業看護師」「産業保健師」「医務室看護師」などのキーワードを活用すると、希望する職種に近い求人を見つけやすくなります。また、企業の公式サイトや転職サイトの「医療・福祉関連職」のカテゴリーをチェックすると、企業内健康管理室の看護師募集が掲載されていることがあります。
応募に際しては、看護師資格を持っていることが必須ですが、さらに「保健師」の資格があると選考で有利になることが多いです。保健師の資格がなくても、臨床経験が豊富であったり、産業保健に関する知識があると、採用の可能性が高まります。特に、小児科や内科、外来勤務の経験があると、健康相談や生活習慣指導のスキルを活かすことができます。

また、企業看護師は従業員とのコミュニケーションが重要な仕事であるため、「相談しやすい雰囲気を作れる」「保健指導が得意」「メンタルヘルスケアに関心がある」などのスキルをアピールすることが大切です。特に、企業の医務室では従業員一人ひとりと向き合い、健康相談やカウンセリングを行う機会が多いため、人と接することが好きであることを積極的に伝えると、採用担当者に好印象を与えられるでしょう。

このように、企業看護師の求人を探す際には、専門の転職エージェントや企業の公式サイトを活用しながら、自分の経験やスキルをしっかりアピールすることが重要です。事前に求人情報をよく確認し、自分のキャリアやライフスタイルに合った職場を選びましょう。