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臨床心理士とは、心理的問題や精神的障害を持つ人々に対して、心理療法やカウンセリングを行う職業であり、公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会により認定されます。
(出典:公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士とは」)
臨床心理士は病院、クリニック、学校、福祉施設、企業など、様々な場所で活動しており、個々のクライアントのニーズに応じたサポートを行っています。特にクライアントへの心理療法やアセスメント、カウンセリングはとても重要です。また、クライアントの心理的問題やストレスを軽減し、精神的健康をサポートするために、地域と連携(市町村などの公的機関や行政)することも臨床心理士の仕事の1つです。
この記事では、臨床心理士の年収や給料に注目し、月収・ボーナス・時給、年収を上げるための方法についても解説しています。臨床心理士を目指す方、転職を考えている方の参考になれば幸いです。
臨床心理士の平均年収は?
厚生労働省が実施している賃金構造基本統計調査では、臨床心理士は「その他の保健医療従事者」の欄にその平均年収が示されていますが、これはその他の医療業種も含めた年収のため、実際の臨床心理士の具体的な年収データは公表されていません。
臨床心理士の雇用形態で
異なる年収
臨床心理士の雇用形態は「常勤」と「非常勤」と呼ばれる2パターンに分かれており、さらに非常勤はパートタイム・アルバイト・フリーランスに分かれています。それぞれの雇用形態により、年収は異なります。ここでは、雇用形態別による年収をそれぞれ紹介していきます。
常勤の臨床心理士の場合
ここでは、フルタイム(常勤)の年収についてお伝えしていきます。
まず、日本の平均年収は360万円台が多いことを考えれば、臨床心理士の平均年収は低いです。公表されている一般的な臨床心理士の平均年収は約300万円〜約500万円ですが、勤め先によりその年収は約200万円〜約1,000万円超と大きな差があります。
これらの年収の差が生じる理由は、国や市町村の公的機関で勤務している臨床心理士は、公務員の年収基準に合わせた金額が支払われ、企業、大学病院または福祉施設に勤務している臨床心理士(初任給は約20万円)は、それぞれ所属している組織の給与基準に則り給与が支払われるためです。
ただし、大学教授や医師と臨床心理士を兼任している場合や、実務経験を重ね社会的評価も高くなると、書籍の執筆や講演活動など行うこともできるため、年収はかなり高くなります。
非常勤の臨床心理士の場合
ここでは、非常勤の年収についてお伝えしていきます。非常勤の臨床心理士は時給制となっていることが多く、他の職種と同様に、時給は経験や実績に応じて上がります。最初は約1,000円ですが、経験豊富な臨床心理士になると時給が約10,000円に達することもあります。
特に学校で働くスクールカウンセラーの平均時給は高く、約5,000円となっており、1日に4万円ほど稼ぐことができることもあります。
一方、学校以外の勤務先では、時給は約2,000円から約4,000円となることが多いようです。また、非常勤の仕事は安定性に欠けるため、臨床心理士の中には様々な職務経験を積み、最終的に常勤のポジションへとキャリアアップすることを目指す人もいます。
臨床心理士の月収
臨床心理士の月収は平均約30万円ですが、勤務先により差があります。
臨床心理士のボーナス
臨床心理士のボーナスは勤務先によっても異なり、平均約64万円となっていますが、実際この額をもらえるのは30歳以上で、20代では30万円〜40万円が平均的なボーナス額です。しかし、役職についている50代の臨床心理士の場合には、100万円以上のボーナスが出るところもあります。
臨床心理士の時給
臨床心理士が非常勤で働く場合、施設や雇用形態により違いが出てきます。1,500円や3,000円など金額は様々ですが、平均は約2000円になります。そのため、非常勤での職を探している場合、まずは雇用形態別の給料相場を確認しておくことをおすすめします。
臨床心理士の就職先別の給料
臨床心理士は、従事する領域によって収入に大きな違いが見られる職業ですが、教育や医療など、多岐にわたる分野でその専門知識を発揮できます。
保険・医療分野
保険や医療系に勤務する公認心理士(臨床心理士も含む)の常勤・非常勤を含む一般的な月給・時給額は以下のようになります。
常勤:月給 20万~25万円
非常勤:時給 1,500~2,500円
(出典:厚生労働省「公認心理師の活動状況等に関する調査」)
この分野では、4割以上の臨床心理士の月給は、20万円未満から30万円未満です。月給20万円から25万円未満の給与を受け取る人が最も多く、次に多いのは20万円未満、続いて25万円から30万円未満の給与となっています。
保険・医療分野では、精神保健福祉センターや一般的なメンタルクリニック、総合病院などの心療内科や精神科などに勤務します。
この場合の主な仕事は、患者やその家族に対する心理的サポートやケアが中心になります。そのため、医師や医療スタッフと連携しながら心理検査や心理カウンセリングを行っていきます。
教育分野
教育系に勤務する公認心理士(臨床心理士も含む)の常勤・非常勤を含む一般的な月給・時給額は以下のようになります。
常勤:月給 20万円未満
非常勤:時給 4,500~5,500円
(出典:厚生労働省「公認心理師の活動状況等に関する調査」)
この分野では、月給20万円未満が最も多く、その次に20万円から25万円未満、25万円から30万円未満の順となっています。
教育系では、臨床心理士はスクールカウンセラーとして、大学・専門学校・自治体の適応指導教室・教育相談所などに勤務します。
スクールカウンセラーとして働く場合、主に子どもたちのメンタルケアや心理的問題に対処することになります。また、カウンセラーと言ってもその業務は幅広く、いじめなどの生徒間の問題や生活相談の対応を行います。問題によっては教職員や自治体職員とも連携を取りながら、様々な問題解決のサポートを行います。
福祉分野
福祉系に勤務する公認心理士(臨床心理士も含む)の常勤・非常勤を含む一般的な月給・時給額は以下のようになります。
常勤:月給 20万~25万円
非常勤:時給 1,500~2,500円
(出典:厚生労働省「公認心理師の活動状況等に関する調査」)
この分野では、保険や医療系と同様に、月給20万円から25万円未満の給与を受け取る人が最も多くなっています。実務経験が10年以上になると、月給30万円〜35万円の方が多くなります。
福祉系の職場で働く場合、臨床心理士は老人福祉施設、心身障害者福祉センター、児童相談所や療育施設などに勤務します。
この場合の主な仕事は、高齢者、セクシャルマイノリティ、虐待やDVなどの精神的不安を抱える方にメンタルケアを行います。また、ケースによっては、ヘルパーや医師、施設支援員ともコンタクトを取り合いながら業務を行っていきます。
司法分野
司法系に勤務する公認心理士(臨床心理士も含む)の常勤・非常勤を含む一般的な月給・時給額は以下のようになります。
常勤:月給 30万~35万円
非常勤:時給 4,500~5,500円
(出典:厚生労働省「公認心理師の活動状況等に関する調査」)
この分野では、月給25万円〜30万円未満と30万円〜35万円未満の方が多くなります。実務経験が10年以上になると、月給40万円〜45万円未満と50万円〜100万円未満の方が多くなります。
司法系の職場で働く場合、臨床心理士は児童自立支援施設、家庭裁判所、少年院・少年鑑別所などに勤務します。
この場合の主な仕事は、加害者の犯罪防止や被害者のサポート、非行少年・少女の自立に向けたメンタルケアとなります。
また、業務により、犯罪心理学の専門的な研究を学ぶこともあります。
産業・労働分野
産業・労働系に勤務する公認心理士(臨床心理士も含む)の常勤・非常勤を含む一般的な月給・時給額は以下のようになります。
常勤:月給 30万~35万円
非常勤:時給 4,500~5,500円
(出典:厚生労働省「公認心理師の活動状況等に関する調査」)
この分野では、月給20万円未満、月給25万円〜30万円未満、30万円〜35万円未満の3つの給与グループが多くを占めています。実務経験が10年未満では月給30万円未満、10年以上では30万円〜35万円未満の方が多くなります。
産業・労働系の職場で働く場合、臨床心理士は公共職業安定所(ハローワーク)、企業内健康管理センター、障害者職業センター、企業内相談室などに勤務します。
この場合の主な仕事は、求職者や自社の社員に対し、心理的コンサルテーション内でのコンサルティとコンサルタントの橋渡しを行います。また、心理学の知識や技術を活用してワークショップも行います。
その他、社員や休職者などのメンタルヘルスを評価し、必要なサポートを提供するストレスチェックを行う場合もあります。ストレスチェックは、公認心理師資格や看護師資格を持っている臨床心理士により実施されます。
臨床心理士が年収を上げるための
5つの方法
臨床心理士の年収は、実務経験を積み上げ、資格取得やスキルアップにより増やすことが可能です。ここでは、年収を上げるために役立つ5つの具体的な方法を説明します。
スキルアップ
臨床心理士は仕事内容の幅も広く、すべての内容に対して専門的な知識や技術を習得することは困難です。そこで、まず自分が臨床心理士の業務の中で、何に興味があるのかを見極めることが重要です。
臨床心理士はその経験年数や専門性により年収が異なりますので、専門的なスキルを持っている人は求人のニーズがあり、その結果、年収も上がります。そのため、興味のあることを見つけた後は、必要な知識や技術の経験を積み上げていきましょう。
臨床心理士のスキルアップの例としては、セミナー講師や公認心理師の資格取得などが挙げられます。
得意分野での資格取得
上述の内容と若干被りますが、自分の得意な分野を専門的に学ぶことも、年収アップのための方法の1つです。日本では臨床心理士が数多く働いているので、他の臨床心理士よりも深い知識や技術を持ち、市場価値を高めていきましょう。
また、その分野の資格取得もおすすめです、一例ですが、産業カウンセラーなどの資格は、一般企業への転職やキャリアアップを優位に進めやすくなります。
高収入な職場への転職
臨床心理士の給与は、業務内容や所属企業・施設によって異なりますので、年収を上げたい場合には転職も1つの方法です。
ここでは、実際に転職を考える場合のいくつかのポイントをお伝えします。
まず、それぞれの分野・職場ごとの給与水準はチェックしておきましょう。給与が高く設定されている職場には学校、クリニック、病院などが挙げられます。福利厚生を重視したい場合は地方公務員などもおすすめです。
また、臨床心理士の給与に大きく影響するのが常勤と非常勤との違いです。高給を狙うのであれば、できるだけ正社員やフルタイムでの勤務で職務経験を積むことをおすすめします。
講演会やセミナーの講師になる
毎日多くのセミナーや講演会が開かれていますが、その講演を引き受けてみるのもおすすめです。講演料に加え、セミナーや講演会を通して、多くの人たちの前で話す経験を積めるだけでなく、新たな仕事の依頼を得ることも期待できます。
講師として登壇した経験が少ない方は、地方都市などの講演会から始めてみるのも良いでしょう。地方都市では大都市に比べ講師の数が少ないため、経験が浅い講師でも経験を積める場を提供される可能性が高いからです。
その他、文章を書くのが好きならば、Webメディア、書籍、雑誌などでの執筆活動も視野に入れると良いでしょう。
臨床心理士として独立開業する
実務経験豊富である程度の専門的な知識がある人は、自分が経営者となり組織から独立することも年収を上げる方法の1つです。臨床心理士や公認心理師などの資格があれば、クライアントの信頼を得やすく、無資格の方よりも案件獲得のチャンスがあります。
独立の利点は、自分が臨床心理士としてのポリシーをそのまま仕事に反映できることですので、自分の目指したい方向性を変えずに進めることです。
また、組織の属していた時にはシフトや働く時間・日数を決められていましたが、独立すれば時間を好きに使えるため、育児や介護など様々なライフスタイルにも合わせて仕事を行えます。
なお、デメリットとして、臨床心理士以外の今まで必要の無かった仕事も、自分自身で行わなくてはいけません。例えば、開業の準備のためにホームページを立ち上げ、必要な書類の提出や集客のための宣伝などの作業が必要です。
臨床心理士の年収・給料は思っていたより、高かったでしょうか?それとも低いと思いましたか?
さまざまな働き方・就職先があり、従事する分野によっても年収・給料が異なります。現在の年収・給料に不満がある、もっと給料を上げたいと思っている臨床心理士の方は、この記事を参考にどこでどんな風に働きたいかを一度考えてみてください。
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参考文献
公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士とは」
http://fjcbcp.or.jp/
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
厚生労働省「公認心理師の活動状況等に関する調査」
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000798636.pdf
この記事の運営者情報
メディア名 | ミチビーク |
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運営会社 | 株式会社Method innovation |
会社ホームページ | https://www.method-innovation.co.jp/ |
所在地 |
〒550-0013
大阪府大阪市西区新町3丁目6番11号 BADGE長堀BLD. 2階
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代表取締役 | 清水 太一 |
設立 | 2016年11月1日 |
事業内容 | 集患支援事業 メディア運営事業 広告代理店事業 |
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